ASTONMARTIN DB4

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パンをこんがり焼く。
その間に、いつも使っている大きめのあのフライパンでオムレツを焼く。
オムレツはプレーンだ、無論。
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そのオムレツをあまり広げすぎるのもちょっと違う。そして薄焼きになってしまうから。
斜めにして!深さのできた部分にたまったタマゴでオムレツを作る。
外側に火が通ったら、大きいさじでかきまぜ内側とチェンジ!
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火が通ったら再びチェンジ。
そしてまたチェンジ。
ふわふわのオムレツができたらいっかい
「ぐいっと大きめに振る」時のあの重み、である。
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傍らで焼いておいた食パンに少し色がついて来たら
薄くマーガリンを塗り、レタスを挟み、
この間、信頼のできるヤツが「これ旨いから」と
おいていったハムを一枚、いやもう一枚追加する。
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そこに輪切りにしたトマトも、いないわけにはいかないのだ、どうしても。
そして件のオムレツをその上に乗せる。
スライスチーズを乗せたらもう一枚、
載せるや否や、少し悔いるくらいたっぷりと握り出したマヨネーズ。
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そこまですんだらすなわち!
さっきのよりもう少し色濃く焼き上がった食パンを挟み上から
力を加えつつ、しかし優しいぐあいに。
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手で上から押さえたら
こんがりと固くなった耳を切り落とす。
もういっぺんも切り落とす。
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45度サンドイッチの塊をずらして
「そのまま一気に半分に切る」ときのあの包丁を下ろすときの重み、だと行っても過言ではない。
それをバスケットに詰め、ちょうど野太い音をたててDB4がやってくる。
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「運転変わって」
運転席に座ってサイドブレーキを下ろし、ギヤを入れ踏み込むアクセルの重さも
寄せては返す波のようなシフトチェンジ際のクラッチペダルの重さも、
信号が黄色になったものだから停止させるべく踏み込むブレーキの重さも、
みんな同じ重さなのだ。
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この重さこそ「生きている証」
例えばこのDB4に乗り込み、このDB4を操るということは
たぶんそういうことなんだと思う。
photogrpher:Masaru Mochida
writter:Kentaro Nakagomi
model:Nagisa Fukai