この街に住もうと決めたのも、そぼ降る雨の日のことだった。
切り通しを伝い、苔を這う雨垂れでさえ生き生きと感じられ、 なんの疑いもなく鬱々としたものと決めつけていた雨。 それをこんなにも新鮮に、感じさせてくれる街。 だからこの街に住もうと思ったのだ。
江ノ電を降りると、小さな小川が流れている。
雨を集めてはケラケラと笑うかのよう。
その川に沿って歩くと、傍らには紫陽花
もう反対側には、 苔が生える岩肌をくりぬいたような電車のトンネル。
カエルや鳥の声を聞きながら坂を登り切ると海がみえる。
雨の日はここを一駅歩くことにしている。