今年ロータリーエンジンを初めて搭載した、コスモ・スポーツのデビューからちょうど半世紀という節目の年を迎えます。「ロータリー」という単語を用いずにロータリーエンジンと対峙し、コスモ・スポーツをはじめとするロータリーエンジン搭載車を擬人化してその「人間模様」を表現してみました。
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永遠に先進で、いつまでも懐かしいモノ。
それは試みか、企みか。
あなたはきっと振り向いてくれない。
喚いても、叫んでも。注意を誘おうとささやいても
振り向いてくれはしないだろう。
きっと今までにも何べんも遭った方法に見えるから。
ありきたりでつまらないことのようにに想えるかもしれない。
でも果たしてそうかな?
全く変わらない方法で、微動だにしないかのようなそぶりで
少しずつ少しずつ
かすかに、極めてわずかに
企んでは試みる。
カラダ全体の力を一点に集中させ、
全身が攣りそうになりながら
とめどなく流れ出す汗の滴る額を払いつつ
目に涙は刺さり
火に油を注ぐように照り付ける太陽の仕打ち。
それでも、大股で飛んだりはしない。
あくまでも根を張ったかのように、留まるように
なんの変化もないかのような素振りで。
披露する変貌ではなく
あくまでも頑なに固執するように
ゆっくりと、少しずつ。端折らず、逸らず。
根気よく、惜しみなく時間をかけることこそ無上の贅沢。
その中でしか得られない手ごたえ、手触り。
神はそれでしか何も語らないのだと知ったときから、急ぐことをやめることにした。
内に秘めたる情熱が鍛える体幹。しかし何がそうさせるのか?
どう変化したか、何が変わったかではない。多くの人々が一瞬こちらを見ることはあるだろう。
しかし、変化した時に集まる幾多の視線などではなく、欲しいのはあなたの眼差し、ただそれだけ。心を射抜くような、精神を燃え上がらせるような、すがすがしくも灼熱のまなざし、ただ欲しいのはそれだけ。
そうして時を重ね、研鑽を重ね、心に秘めた熱い想い。
でも、私がしたためたこの気持ち、あなたはすべて見透かしているのではありませんか?
あの時から誰にも負けない先進性を誇っていたことを。
だからこそ、これからも、私たちがいつでも帰ることができる場所だということを。
身をすり減らしながら燃える続ける情熱。
歌声は天高く淀みなくコダマする。
ほかの誰も採用しない方法で手にした栄冠は、しかしながらロマンチックな輝きを放つ。
が、しかし、もしかするとあなたは振り向いてはくれないかもしれない。
それでもあきらめることはないだろう。永遠に先進で、いつまでも懐かしいモノを。
model: miu kanzaki
photo:masaru mochida
writter:kentaro nakagomi
supecial thanks :マツダ株式会社
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