「ありがとう」
そういわれているような気がした。
一つだけ。二つとない。でもなんだかのどか、なごやか。
そしてそれこそが本当に贅沢なことなんだな。
貴重、ものすごく貴重なんだけど、そういうありがたみを超えて
ただただひたすらに「悦びがある」
「ありがとう」
とりあえず、だから僕もそういうよ。
どんなに貯金をはたいても、
どんなに迷ってみても
どんなにひねり出そうとも、コレ以外に圧倒的、
こころを定めるほどのモノが思い浮かばないんだ。
「ありがとう」
まずはここから始まるんだ、
そしてどんなに派手で輝かしいことが出てきてもそうそう簡単には軽んじられない
そして最後の最後、あれこれ言葉多く、至れり尽くせりの品物を用意し
気持ちを表そうとも思ってもぶれてしまうかもしれない。
しかし、ぶれてなくなってしまっても、僕の中にずっと残った言葉は
「ありがとう」なのだから。
ありがとう、ただそれだけ。
ありがとう。ただそれだけなのに。僕が言えることなんて。
それだのに、君はときたら、全く「ずるい」人だ。
そう、ずるいんだよ、これは。
僕はありがとうという言葉しか出ないのに、
出ないのに、鋭く企てるように。君は微笑む。
「お気持ちだけ頂きます」
そういって納めようと思ったのに。
そうはさせないのだね。
僕の「ありがとう」のお返しで「虜」になるのですか。
虜にする魅力。
歴史だけでも優雅さだけでもこうはいくまい。
その先にある、一番最後まで残る一番輝かしいもの。
夏の太陽のもとの、紺碧の君の微笑み。
photogrpher:Masaru Mochida
writter:Kentaro Nakagomi
model:nana.
special Thanks:ギャレット インテリア / Garret Interior
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