今日はね 彼と縁日デート
短かい夏の終わり 少し特別なデートにしたかったな
「はぐれないで」って手を繋いで欲しかったけど
いつも通り私から繋いじゃって
知り合いを見かけても離さないでほしかっ・・・
あれ、今パパの車通り過ぎなかった?
パパのクルマはルパンと一緒 間違えるわけない。
私、あのクルマFIAT500のこと 大好きだもん
ねぇちょっと! 娘はここにいますよ!!
慣れない下駄で慌てて追いかける。
「もうパパ!娘をスルーした罪は重いですよ?」
なんてね、嘘
「迎えに来てくれてありがと」
これは、ほんと
「今日?すっごく楽しかったよ!」
ごめんパパ、これは嘘
「わたあめも食べたの! 昔パパも買ってくれたよね!」
せっかく浴衣を着てお洒落したのに
そっぽを向いて、目もろくに合わせてくれなかったよ
「ねぇ信じられる?最近の男の子はクルマも持ってないんだよ!」
私ばっかり話して、全然話してくれなかったんだよ
なんだか上の空って感じだったの
「それにね!・・・ううん、なんでもない。」
私何かしちゃったかな・・・
いつもより 彼よそよそしかったし
「ねぇパパ、ちょっと疲れちゃった」
夢の中なら いつもうまくいくのに
どうして うまくいかないんだろう
ん、眩しい
「わぁ 綺麗な夕やけ」
パパには全部お見通しってワケね
「パパ、やさしいね」
そんなことないよ って謙遜するけど
私はちゃんと知ってるよ
「浴衣と花火は定番だけど、夕日と浴衣もいいね」
昔から、好きだったな
パパとこうやってドライブして夕日見るの
「 」
パパはなんでもお見通し
でもね、女の子から隠し事をとったら何も残らないって不二子ちゃんは言ってるの
だから
「デートの縁日もいいけど、今度は家族でも行きたいね!」
今日の気持ちは 私だけのヒミツ
でもこの気持ちも パパにはバレバレみたい
「浴衣姿綺麗? ありがと!」
パパは、彼が浴衣が綺麗で照れちゃったんじゃないのなんていうの
「そうかな?」
そうだといいな
「今日も迎えに来てくれて、乗せてくれてありがとう」
photogrpher:Masaru Mochida
model:MEI ADACHI
writter:Sally