ジャガーというクルマは片道切符だと思う。
このクルマに乗って自分のもとを去るヒトは二度と戻らないような気がするし
これに乗って旅に出ると、もうあともどりできないような・・・
そんな雰囲気、危うさを感じないではいられない。
イタリアのクルマのように前後の見境がない感じではないのだけれど、
だからこそもっと意図された危うさ、策すらも感じないではいられない。
そんなジャガーだから、一緒に旅に出ようか。
時計なんか見るな。地図もいらない。手帳はしまっておけ。
太陽の導くままにハンドルを切る。そういう旅こそがふさわしい。
そんなジャガーで君は待つ。
寒ければ僕の上着を羽織るかい?
疲れたら休めばいいさ。
大好きな本と、スキットルは持ったかな?
月に照らされ何処までも。
そんなジャガーは素敵だと思う。
片道切符のジャガーでの旅。
きみ、ついてきてくれるだろ?
もう後ろは振り返るまい。
もしも帰るとき、今の僕とは違う僕さ。
「ねえ、何してんの?」
クルマで待つ彼女のその言葉でハッとした。
まだ春というには早すぎるかな。
柔らかい日差しに見送られながら
どこまで行こうか。
photographer:Masaru Mochida
model:Rina Sugiyama
Writter:Kentaro Nakagomi