大人のフリをした。
相手にされないと、
自分の気持ちに嘘をつき、
湧き上がる想いに蓋をした。
どうして素直にぶつからなかったのだろう。
時を経て想う。
もしあのとき、ほんのティースプンひとさじの……勇気があったなら。
今見える風景が変わっていたかもしれない。
幼さに身を任せて、
子供だからこそ許されるわがままを
あのとき、あの瞬間に、ぶつけるべきだった。
好き。
ただひとこと、そう伝えれば良かった。
「いい女になれよ」
身も心も優しく包んでくれるサンクのシートに身をゆだねていたら、
ぎゅっとしまい込んでいた想いが流れてきた。
いい女ってどういうことなのだろう。
まだ答えは見つかっていないのだけど……
少しはいい女になった?
今の私なら―――――並んで歩けるの?
誰も気が付かない、小さな、小さな私の中の出来事。
それでも、
あのとき感じた想いは、きっと私を強くする。
好きです。
好きでした。
ありがとう。
photogrpher:Masaru Mochida
model:Yoshika Masubuchi
writter:S.T